8.茶 話

「覆水盆に帰らず」 中国の諺である。中国周代、呂尚(別名・大公望)の話。

胃水の辺で毎日釣と読書ばかりしている呂尚にあいそつかした妻は家を出て行った。

後日、文王に見いだされ一国の相承まで出世した呂尚に、 家出した妻は復縁を迫ったが、

呂尚はお盆に水を注いで、庭先にその水を溢し 「妻よ!あの水を元通りこの盆に盛れたらお前と復縁しよう!」と、

水は庭の土に染み込み元に返すことができなかった。 「妻よ!一度、別れたものは、元には戻れないんだよ」と言ったとか。

聞いた話だが・・・これをドラマの脚本的に書くと次のような話しになるのかな!  ある大学教授の話しです。

大学の教授というくらいだから多分、この方のの人生は  子供の頃から優等生、何でも1番の人生であったろう。

自信過剰人生のこの教授に  若い彼女ができた。その彼女に入れ込むこと、奥様(和子)の注意も何んのその

「お前は誰のお陰で生活できると思っているんだ!文句があるなら出て行け!」

ぐらいは平気で言っているであろう性格。そして、心の奥ではこんな古女房とは別れて余生はあの娘と!と思っているかも知れない。

そんな中、ある日奥様は思い出の同窓会に出席。そこで登場したのが青春時代の初恋の男性。中島弘君!

定番のセリフか本心か 「和ちゃん!元気やったネ!いつまでもきれいやねぇ 昔とちぃ~とも  変わっとらんが~

和ちゃん気付かんがっただろうけど俺、ず~と君のことが好きやったんだ。もう遅いけどね!」

「あ~ら 弘さん!お世辞が上手ねぇ あの頃その言葉が聞きたかったわ!  弘さん子供さんは?」

「子供は独立して今は一人さ」「奥さんは?」「5年前病気で死んだよ!」  「和ちゃんは?」 「私、子供はできなかったの!」

想像ではではあるが、おそらくこんな会話が  交じわされたであろう。それから弘さんと和さんの黄昏流星群の深~い深~い、

密やかな交際が始まった。 さて、教授はというと若い彼女の所に入り浸り。 

始めの頃は何でもいうことを聞いてくれ楽しかった・・が  彼女も最近では、この初老人教授の存在が疎ましくなりだした。・・が・・

教授はそれに気付かない! 一方、弘さんは和さんの悩みの全てを受け入れ勇気をだして結婚を申し込んだ。

和さんは今まで味わったことのない男の優しさ、弘さんの思いやりを受け、  申し出を受け入れることに時間はかからなかった。

それにはまず教授と離婚しなければならない。教授と相談!  (弘さんの存在は言えない) 教授も渡りに船、

心ではバンザイを唱えながら退職金、 財産の半分は和さんへ  ということで、 めでたく速やかに協議離婚が成立!

和さんは弘さんのもとに  翔んで行った。教授が離婚に素直に応じたのは彼もかれなりに計算通り、

第二の人生の余生を若い彼女と!と夢に 描いていたのであろう・・・が・・・  ここで教授の人生方程式計算に狂いが起こる。

それは彼女には 二股掛けていた  若い彼氏がいて、彼女はその彼氏の元に去って行った。

ガックリちんちんで元妻、和さんを尋ねた教授が眼にした場面はまさに  逆「覆水盆に帰らず」そのままだった。

今まで順風満帆、優等生の人生を歩いてきた教授に始めて挫折と苦悩の  ひとりぼっちの人生が始まった・・とさ。

夫婦の別れ、恋の破局、女性は一旦決めたらスパッ!と切れる  みたいなところがあるが、いつまでも未練を引きずるのは男達。

日頃は強がり言っていても、いざとなったら男は弱いもんだ。トホホホ・・ 夫婦が別れた後、復縁を迫るのは大概男と相場は決まっている。

「別れ」生き別れは性格の不一致や不倫など憎しみ合って別れるが、 死に別れは、思い出だけが残るらしい!

ということは 「別れ」は恨み辛みを残した生き別れの方がすっきりしていいのかも!

死に別れは素敵な思い出の良いところだけが何時までも心の奥に 残るから辛いとか!

世間話では「男寡にうじが沸く」「後家には花が咲く」 ともいう。  一般的に離婚したり、妻に先たたれた男は、ガックリくるようだが、

逆に女性は「二度と結婚しないわ!」と豪語しながら独身と自由を 満喫するようだ!

・・・が・・・いずれのパターンも目の前に現れた素敵な男、 女性で堅い決意もくるりと変わる。 ま、人間のすることはそんなもんだ。

それでいい それでいい!