4.最後の特攻隊

先日、東映ビデオ「最後の特攻隊」(鶴田浩二・高倉健)を観た。 

皆さんにも是非一度鑑賞をお薦めしたい!単純に「昔の戦争映画じゃないか」「60年前の話じゃないか!」

と言われればそれまでのことだけど・・・ 

人間の本音、責任、義務、悲哀、リーダーとして突っ張らなければならない男の姿 など等、

いろいろ教えられたような!今でも、その場面の一言一句がこの胸の奥に残っている 

※ 特攻で出撃した吉川隊員はが飛行機のトラブルを理由で2度引き返してくる。 

彼は盲目の母親がいて、自分が死んだ後一人残される母のことを思うと特攻を実行できなかったのである。

ドラマはもっと複雑なのだがそのことで上官達がぶっかる。

「いやがる吉川の首に縄を付け引っ張って行き死なせろちゅうのか?」

「国が戦っている時、個人の意志で戦争を回避することはできません。 

日本人である以上 好むと好まざるにかかわらず、誰もが国のために死ぬべきです」 

「だからと言って死ぬ覚悟のない者を、無理やり特攻で死なせて どうなるものでもあるまい! 

飛行長!吉川を特攻から外してください。」

「今の日本の戦況は個人々々の事情を考えている時じゃないんだぞ!」

「分かっております!しかし、特攻の目的は敵艦に体当たりすることであります。 

体当たりする意志のない者を出撃させることは飛行機と燃料の無駄であります。」 

「大尉!理屈はその通りです。しかし、すでに逝った隊員達にもそれぞれ 悩みや苦しみはあった筈です。

吉川だけを例外として認める訳にはいきません!」

「八代!確かに貴様の言うとおりだ。吉川に時間をくれ!」

その後、吉川は隊を脱走して母に会いに行き「母ちゃん逃げよう!」「何?逃げる?」 

「母ちゃん俺が死んだらどうするんだ?早く支度をして!」「逃げるって、何処に逃げるんだ?」

「分からん!何処か山ん中で二人で暮らそう!母ちゃん!」「な 何があったんだ!信一!」

「母ちゃん俺 俺特攻へ行って2度帰って来たんだ。」「信一お前!」「母ちゃん俺 俺死ぬのが怖かったんじゃないんだぞ!

俺が死んだら母ちゃん一人ぼっちになってどうなるかと思うと、それが辛くて!

本当はねっ!俺が特攻に志願したのは母ちゃんに配給の甘いものを いっぱい食べて もらいたかったからなんだぞ!ウ~~!」

「何~っ!母ちゃんのことが心配で特攻から帰ってきたんやてぇ~~そんなんやったら母ちゃんは

死んだ特攻の人達にどない言うて謝ったらいいんやぁ~~ ばっ 馬鹿者!

母ちゃんは お前をそんな卑怯者に育てた覚えはない!出て行け!出て行け!お前の顔など見たくもない!

今日限りで親でも子でもない!」 と吉川を戸外に突き放す。「母ちゃん! 開けてくれ! 母ちゃ~~ん!」後日、

吉川の遺骨を届にきた上官に母は 「ウワァ~~信一~こんな姿になってぇ~~

許してくれぇ~~あん時逃げて この子を卑怯者にすればよかったぁ~~~そしたらこんなことには ならんかったぁ ウワァ~~。」 

※ 「番号!」 1234567・・・「よ~し偶数は前へ!貴様達 明日の特攻だ!各々覚悟を決めておけ!」

・・ その後 「兄さん!ひどいじゃないかそんな選び方はないだろ彼等だって人間だ!」

「じゃ お前は何を基準に選べって言うんだぁ こんなことこうでもしなきゃ やってられるか 俺だって心も命も捨ててかかっているんだ!

「だからこそ兄さん!僕は戦争を憎むんだ。僕達は決して国のために死ぬんじゃない! 

戦争を 起こした奴らを憎んで憎んで憎み続けて死んで逝くんだ!」  

※ 「大尉、東京から奥さんが見えています。

赤ちゃんも一緒です。駅前の旅館です。 すぐ車を手配します。」 「あぁ いや、いいよ。俺は会わん!

済まんが東京へ帰るように伝えてくれんか。」 「はぁ? しかし東京からわざわざ赤ちゃん連れて見えているんですよ!一目だけでも・・」 

「かまわんよ! 俺の妻だったら俺の気持ちは分かってくれるはずだ。なぁ 八代! お前も明日出撃するんだろう! 

そんな時、今晩貴様一人 お母さんに会えるか? 立場を分かってくれ。貴様の気持ちは嬉しいが・・・・」 

翌朝、八代は「大尉!飛行長が呼んでいます。」と嘘を言って大尉を呼び出しサイドカーに乗せて連れ出す。 

その先の鉄条網の外には産まれたばかりの赤ちゃんを 抱いた妻が立っている。

大尉の姿を確認すると赤ちゃんの顔を一生懸命見せようとする。 「大尉!赤ちゃんを抱いてあげてください!」

「八代、どうもありがとう!」と大尉は、遠目に妻と産まれたばかりの息子を、じ~~と 見て敬礼をする。

そして 「いけ!」と命じてそのまま、サイドカーをUターンさせて去って行く 

※ 直援隊が帰ってくると特攻基地は静まりかえっていた。

一人の整備士が酒をあびて酔っ払っている。 「おいっ! これは一体どうしたんだ? 皆何処へ? おいっ!」

「どうしたも こうしたもあるかいっ!日本は負けたんだよぉ~~」「何っ? 嘘だ!日本は神国だ、負けるはずがないっ!」

「お偉いさん達には10日も前から分かっていたんだってよ~ ちきしょうっ!

人の命を 何だと思っていやがるんだぁ~ 今日特攻した あいつ等は 一体何のために死んだんだよぉ~~」

※ 「場長!私に0戦を一機ください!」 「・・・宗像!貴様、何を考えているんだ。貴様、一生懸命やったじゃないか!

何の責任をとるんだ。 馬鹿なことはやめろ! 死んではいかん!」 「自分は・・・・・自分は・・・」

大尉はひとり0戦に乗り、赤い夕日に消えて逝った。 所詮、映画かも知れない・・が・・現実はもっと悲惨であり残酷だったであろう。

間違った思想が招いた国家の悲劇、歴史、その犠牲のあと 今、平和な時代に生きている我々。

不景気 デフレ、税金、甘ったれるんじゃない!まだまだ俺いら達は幸福者なんだ! 

生きてこられたことに感謝しなきゃ! 

それがいい それがいい!