48.宗家の墓標
恩師全日本空手道連盟元老玉得博康が逝った
東京荒川の円通寺で葬儀が行われ多くの参列者が・・・
一周忌が過ぎた頃(この一周忌では後継をめぐり一波乱=又の機会に書こう)
「そろそろこの人(亡宗家)の墓の事を考えないといけないのよねぇ いつまでも円通寺で
預かっていただいてる訳にもいかないし・・・墓と云っても東京は高いしねぇ・・・」
と奥さんがつぶやいた。宗家が生きている頃寄って来る高弟の中には
「先生達の面倒は自分がみますよ!部屋もちゃ~~と用意しますから・・・」と
豪語する者もいて(すごい先輩も居るもんだ)と感心していたがイザとなると・・・???
東京で墓を建てるとどれくらいかかるのだろう?
多分びっくりするような!元々俺いらは墓要らない主義だが師匠の墓なら別だ
何故ならそれを未亡人である奥様が 希望しているからだ。
奥様は悩んでいる悩みは場所と墓建立金のことだろう!
「奥さん!墓は東京でないといけませんか?」俺いらは聞いた。
「えっいぇ別に東京にこだわるつもりはないけど・・・・」
それなら事は簡単だ!
玉得宗家(長男)の弟に(三男)英吉(亡)さんが居て
この方に英樹君という息子さんが居り知人で宮崎に住んでいた。
彼には父英吉さんの墓敷地は購入確保したが今、墓が建てられない事情があった。
俺いらはその事情を知っていたので彼を呼び出し
「英樹君!お父さんの墓はまだ建ててないんやろ?」「うん!」
「でさ相談があるんやけど・・・東京の叔父(宗家)ちゃんの墓もどうしようか?
と奥さん(宗家未亡人)も悩んでいる訳よ。でね相談と云うのは
この際お父さんの墓を建てみないかい?その墓も名目を(玉得家之墓)として
墓石に先生やお父さんの名前を入れたらどうかな?ダメかな?」
「・・・それは別に構わないが・・・」
「金のことやろ!そのことで考えている事があるのよ。俺には今数人の高弟達が居るんだ
その彼等を今回、師範などに推薦昇段させる誉昇段になるけどね今、王統流の宗家は奥さんなんだ。
で彼等を昇段させる事で奥さんには4~50万の免状料が入る。そこでや!英樹君は奥さんに
墓を(玉得家之墓)として合同で建てる話を持っていき奥さんにも墓建立の資金協力をお願いするんだ!
今だったら奥さんは多分賛成する!どう?お互いにいい機会やと思うんだけどね!」と。
俺いらは幹部高弟達を皆推薦昇段して奥様に免状料を送金した。
それからしばらくして宮崎市糸原に(玉得家之墓)が建立され宗家もそこへ!
しかしながら玉得宗家にはあれだけ沢山の門弟達が居たが誰も墓へ参りに来る者は居ない。
多分師匠の墓が何処にあるのかも知らない弟子もいるだろう。知らなくてもいい話でもあるかも!
奥さんから三代目を譲り受けたとか云う三代目宗家?もまだ亡宗家の墓参りに来た話も聞かない!
多分彼も宗家が眠る墓が何処にあるかも知らないだろう。
世間と云うものはそんなもんだ!
三代目さん貴方も代目を継がして貰ったのなら一度ぐらいは
王統流創始者玉得博康の墓参りぐらいしたら?
それが仁義だよそれが筋だよそれが我が師の恩だよそれが出来ないのなら代目を返上したら!
それがいいそれがいい