43.クソ真面目

人と屏風は直ぐでは立たぬ・・・と云う諺がある。

(真っ直ぐ伸ばして立てた屏風が倒れるように 人も時には自分の感情を殺し 

曲げて相手に合わせることも必要ですよ~)・・・の意味 

人間不真面目なヤツより真面目に越したことはない・・・が

この真面目にクソが付くと クソ真面目に成る クソが付いたら もう始末に負えない! 

度が過ぎる 自己中心の考え方から 自分の云うことだけが正しい・・・となり 、

融通の利かない頑固者になるから厄介だ。 

居た 居た 極端に真面目過ぎる男が! その真面目さが飲み会などでは 豹変してヤマイモがでる。

他人に説教を始める。(また 始まったか!)・・・と皆は 相手しない・・・が

本人は( 俺の意見が正しいから 誰も反論ができない!)と。反論がないから彼は益々増長して 

云いたいことを云う。 俺いらが見かねて   

「それは違うだろ! それはこうだろ! 人にはいろいろな考え方がある。あんたの意見は

自分の考え方だけが正しい! ちゅうことになる それはおかしいよ!」・・・と嗜めると

不満ながら 一時は おとなしくなるが 酒が過ぎメーターが上がったら 見境がなくなり

始末に負えない!

少林寺会館支部長会 毎月第一土曜日 (親睦会、意見交換会 会館の方針 飲食など等)

会費 5,500円 (これは 館長も支部長も平等に納付する義務がある)

会計係りが徴収し管理貯金 使用は 会の飲食代 支部長仲間の冠婚葬祭費 稽古防具購入費

大会行事など損失の補てん 時々の旅行経費 その他いろいろに使うことになっている。 

支部長会も本部で合同稽古すると その月の会費は丸々貯金へ。 5,500円でもチリも積もれば山となる。 

無駄使いばかりが能じゃない。 節約ばかりが能じゃない。

適当に使い 適当に貯蓄へ これが俺いらの狙いだ。 会計報告では 100数十万貯蓄できていると報告。

さて 問題はここからだ!

ある日 新支部長へ昇格誕生と云う話がでた。 会館にとっては嬉しい話である。

ところが 赤松支部長から(待った!・・・が かかった)

「館長 今日在宅ですか?」「居るよ!」「話があるのですが・・・」「いいよ!」

赤松支部長と池田支部長が来た。

「話とは何んね?」・・・と聞くと 赤松が喋り始めた。

「今度 〇氏を支部長にという話が出ましたね?」 「うん そうやったな!」

「支部長に!・・・という事はいいのですが・・・・・」 「うん 何?」

「支部長会費の件なのです。 現在百何万貯蓄がある訳ですが それを支部長皆で割ると ひとり十数万円になります。

で 〇氏は 一円も出さずに支部長になれるのですか?」

「それで いいのでは? 支部長会費ちゅうても あれは個人の金じゃない 〇氏には来月から会費を

支払うようにしてもらえば・・・」

「それは館長の考えでしょ やっぱり十数万円負担してもらうべきです」

「まぁ 君の考え方も一理はあるが・・・けど それを負担しないと支部長にはなれない!ちゅうのは どうかなぁ~?

そんなに難しく考えなくてもいいのでは・・・」

「それは館長の お考えでしょ 彼を入れる前に 皆で決を取ってください!」ときた。

「解った! 確かに 君の言うのも一理はある そうしよう! ただ一言云わして貰うなら あの支部長会費が

皆で割れば幾らになる・・・とか云う考え方はやめて欲しいな! 確かに皆で毎月徴収しての会費ではあるが・・・

それやったら これはどうなるの? 毎回大会に度に 後援者の方達から 広告 寄付など頂戴しているけど

その時に 君は割り当ての6万ぐらいしか集められないのに 俺は20万 時には それ以上集金して 

会計に納めているけど それはどの様に処理してくれるの?・・・とも云いたくなるよなぁ! 

けど そんな事云てたら みっともないし カッコ悪いやろ おれ そんな事一言も云うたことないわぁ 

それにさ 支部長会費ししても どこの世界に親父が皆と一緒に会費納めるか それだけでも 見習って欲しいわな^^」

「・・・・・・」

後日、緊急支部長会を開く

「・・・・・・・と言うことで 赤松支部長からの意見ですが 皆さんはどの様に考えていらっしゃいますか?」

と議長が問う。

「俺は あれは自分の金と思ったことはない!」

「あれは皆でいろいろ使ので 個人個人で割れば・・・とはおかしいのでは?」

「俺も みんなの考えでいい!」・・・

結局 赤松の意見に賛成する者は ひとりも居ない! 赤松はというと 顔面蒼白 身体が奮えている。

と 突然! 立ち上がり 「私は本日を以って この会を脱退させてもらいます!」・・・と 

云うや否や 予め用意して来ていたのか 支部旗をデスクに置くと パッと外に 出て行った。

あっ どうした? 何で? 赤松さ~ん! 止める隙もなかった。

皆 あっけにとられている! 

しばらくして 池田が 口火を切った。

「実はですよ 一昨日の夜 赤松さんから電話がきたんですわ! 少し酒が入っていたような?

で、彼が言うには 私に今日の この会で彼の意見に賛成してくれ・・ちゅう訳ですわ! で 私が赤松さん

それはおかしいのでは? 私は私の意見を述べるつもりですから・・」と云うと

「はぁ? 何で 今頃になって あんた俺に同調して館長の所へ行ったんやろ! はぁ?」

「赤松さん それは違いますよ! 赤松さんから あの日一緒に行ってくれって頼まれたからですよ!

赤松さんの意見に賛成して・・・と云う事じゃないですよ。それだったら 全部赤松さんの意見が正しい!

ちゅうことになりゃせんですか? だから 館長は赤松さんの意見も一理あるから 皆の意見も聞こう!となったのでは?」

「こりゃ 今頃になって お前は裏切るのかぁ! お~っ くそっ! 勝手にしろ!」と捨てセリフで

電話を切ったとか! な~るほど納得 極端過ぎる!

池田は (一緒に行ってくれ)と頼まれ 只、同行しただけ。 赤松は同行した事は 

自分に賛成してくれたと思い込む! これも一方的な押し付け自己中の勘違いなのに。

自分の考えが 絶対正しい! と思っているから 相手は裏切り者になるのだから始末に負えない。

結果の始末 誰も取り合わないから 誰もかばわない 除名になった。

彼は高校時代 野球部に入部していた・・・野球キチ  野球に対するかなりの情熱が!

もう昔話になるけど・・・・夏の甲子園での出来事。

巨人軍から アメリカ大リーグへ移籍して活躍している 松井秀喜選手の話

松井選手の強打者ぶりは有名で怪物とも呼ばれていた。 

その時の試合は 松井の(石川)星陵高校 対(高知)明徳高戦だったと思う。 

松井の一発を恐れた 相手チームの明徳の監督は 松井選手を敬遠することに! それも5打席を全て敬遠に!

さぁ 大変 日本中が釘付けになっている甲子園で

(勝負させろ! いいやあれでいい! プロじゃないんだから・・! 監督辞めろ! 卑怯だ!) 

その時 日本中を賛否両論二分した 大騒動になってしまった。

我が飲み会でも・・・野球キチ 赤松論が始まった。

「今度のことは 監督が一番悪い! あれは監督の資格がないわ! あげなヤツが監督やったら選手が可哀想やわ!」

俺いらが「そりゃそうやけど あれは あれでいいのよ!」と・・・云ったあとシマッタと思ったがすでに遅し

「はぁ? 何 云んですか! あそこで正々堂々勝負させるのが監督やないですか! 開会式のときも
 
選手代表が選手一同正々堂々戦いますって云うじゃありませんか! それじゃ  あれは何んですか!」

「確かに あれはひとつのセレモニーでもあるし 正々堂々戦うも ルールに乗っとって・・・と云う意味じゃが・・

何でもルールを決めたら ルールを守らなきゃ!」

「はぁ? 館長は野球を知らんから そう云うこと云われるが 野球は野球の精神と云うものがあるんですよ!」

「野球の精神は知らんが 君の言う通りやったら 監督は要らんが! そうやろ! そしたらよ 監督は

今日は正々堂々戦ってこい 俺は寝てるから・・・でもいいことに成りゃせんか? そうじゃない! 

監督は 自分のチームを勝たせるために 知恵を出し采配し  走れ! 打て! バントで! 盗塁しろ!など等の

作戦をたてて 選手達にサインを送るんやろ! だから 今回のことは 一発を恐れて敬遠のサインを送って

ピッチャーは それを守っただけのことや! そりゃ 皆 勝負は見たかったさ! けど監督は

その勝負より チームの勝ちを選んだだけや! それも野球ルールで許される範囲の作戦で!」

「その逃げが 卑怯って云うんですよ!」

「それは卑怯っては云わんやろ!」

「いいや あいつは監督の資格は無いですわ! 皆 皆 どう思うや?」

「おい 赤松 もう この話は止めよう 話題を変えよう きりがないわ!」・・・と

冷静に考えれば 何んのことは無い。勝負はさせたかった。そのシーンを見たかった。・・・が

その思いはあっても 勝ち負けを決める試合 決められたルールの中で戦うに 何人も文句は云えないのだ!

まぁ しかし あの時は日本国中が賛否両論で大荒れに割れた。

彼とは時々 この様なぶっかりがあった。 ある日

空手大会の審判のことで・・・赤松が

「俺はよぉ 自分の道場と相手の道場が互角で勝負が付けられん時は 相手に花を持たす意味で

相手の勝ちにするとよ! そうじゃろ?」と

「赤松!審判は審判になった時点で 相手の道場 味方の道場 って区別したらイカンのよ 

相手じゃろうが 味方じゃろうが 自分が勝ったと思う方に 堂々と旗あげればいいのよ!」

赤松は苦々しい顔をしていた。

 赤松が喋っている時 ある者が欠伸(あくび)かみ殺しながら・・・した!

 と・・・「人が喋っている時 欠伸すんな!」と大声で怒鳴った。

 まぁ 確かに欠伸が出た方も注意が足らなかったが それを仇敵に出会ったように怒鳴りも

 如何なものか? 座が白けて シ~~ンとなった。気まずい雰囲気!

 「赤松 欠伸ぐらい許せよ 屁と同じで 思わず出てしまう時もあるわな!」
 
 「人が話している時 欠伸するのは失礼ですわ!」

 これじゃ 何十年来の友達も一瞬にして 敵になってしまう。 

真面目? もいいが 直情型の クソ真面目だけでは 世の中は渡り難い

これじゃイカンと思い忠告のつもりで 彼を喫茶店に呼び出し 

(・・・・はオカシイよ! それを直さないと 終いには友達が居なくなるよ!)と注意をしたことあるが・・・

解ってもらえなかったようだ。 この人生激情(ここだけの話で葬式の事でイチャモンつけたのも彼の話だ)

その末路は 誰も引き止めない。 誰も相手にしない・・・結果に!

彼の話 地区の人 仕事関係の出先などで (・・・・さんは ちょっとですねぇ)と よく聞かされた。

それに本人が気付かないことは 実に不幸としか云いようがない!

何んぼ話ても 解ってもらえんのやから仕方がない それっきりになってしもうた!

それでいい それでいい

 追伸 飯島勲さんはコラムのなかで
  
(自分が正義だと信じていることを主張しても、それが受け入れられるとは限らない。 

何故かと言えば 自分が正義と考え、主張することが勝手な思い込みに過ぎなかったりすることがあるからだ。

 また、自分の主張が客観的に正義と云える様なことであっても それを受け入れとしない反対勢力が

 あるという場合もある。 要は 正義にも 自分の正義 相手の正義 社会の正義 権力の正義 男の正義

 女性の正義 等など多様である つまりは世の中の現実とはその様なものだと云うことを

 前提にしなければならない)・・・と書いてるが

 正しくその通りだと思う 赤松君よ そこを理解しないと 君だけの正義は通らないのだよ!